Tec00013 企画記事シリーズ「パソコン導入がコンピューター拒否症生む?」

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 一年先に迫った、中学校でのパソコン導入を考えてみましょう。


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* パソコンの中学校導入 コンピューター”拒否症”生む恐れ *
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                  1992/1/21 大阪本社夕刊三面 にゅうす・らうんじ

 コンピューターをだれもが使う時代が来る−−学習指導要領が新しくな
り、中学校で平成五年度にコンピューター教育が導入される。選択科目な
がら必修に近い扱いが予想され、大半の中学生は半年前後、パソコンの画
面に向かわざるを得なくなる。しかし、最近ではコンピューター利用法は
専門家が書いたソフトウエアを使うだけに変化したのに、初歩的なプログ
ラムを書くことにこだわった授業になりそうだ。教育研究者の間では「か
えってコンピューター嫌いを生む恐れがある」と警戒する声が強い。
                                             (科学部・団藤保晴)

 《プログラム教育・・・良質ソフト出現で異論》
 コンピューターを動かすのはプログラム。プログラムが無ければただの
箱なのに、平成三年秋に開かれた教育工学系の学会で、黒上晴夫・阪大人
間科学部助手(32)=教育方法学=は「中学生の授業にプログラム作りは不
要で、パソコンの機能で将来まで残る使い方だけ選んで、覚えてもらった
らよい」と問題提起した。五−十六歳が対象の英国の情報技術教育は、プ
ログラム作りは子供が望まなければ教えようとしない。
 ところが、教育現場に近い学会参加者からは「プログラムで動くことは
将来も変わらないし、コンピューターの本質を理解するのに欠かせない」
と、猛烈な反対があった。
 新学習指導要領で新設される授業は、技術家庭科の「情報基礎」領域。
過去に率先してパソコンを取り入れた学校は、理科や社会科などの授業で
理解の手助けに使ったが、情報基礎はコンピューターそのものを勉強させ
ようとする。「新指導要領で簡単なプログラムの作成が求められているの
で、相当の時間をかけて教えられる」(文部省職業教育課)はずだ。
 プログラム教育に異論が出るのは、コンピューターのプログラムは数年
前まで自分で作るものだったのに、現在ではたいていは専門家が作った既
製のソフトウエアを利用するだけに変わったからだ。良質のソフトは規模
が大きく、自作と比較にならない高い能力を秘める。
 映画「風と共に去りぬ」の原作を英語で読み通した人は少ない。既製ソ
フトを使うのはちょうど名作映画を見るのと同じで、プログラム作りは英
語で原作を書くのに相当する。書くことはもちろん、読まなくて名作映画
が楽しめるように、既製ソフトウエアでパソコンは十分生きる。
 しかも、中学校で教えられるプログラム言語は、世界中に広く通用する
英語クラスではなく、愛好者が少ないエスペラント語のような特殊な言語
だ。

 《落ちこぼれ・・・数学と同じ感覚が心配》
 愛知教育大の今栄国晴教授(57)=心理学=の調査によると、愛知県内の
中学ではコンピューターの導入前に三割程度の生徒は「将来ともにコンピュ
ーターには触れたくない」と感じていた。しかし、コンピューター教育の
研究校でうまく教えた学校では、こんなコンピューター拒否症は数パーセ
ントまで下がったという。
 研究校ではコンピューターに慣れた先生が工夫を凝らして授業をしてき
た。一斉導入後は、不慣れな先生も教科書や指導書を片手に教えることに
なる。「プログラム作りにこだわると数学の授業と同じ感覚で受け取られ、
落ちこぼれる生徒を増やしかねない」と、今栄教授はみる。
 小学校にこんな例がある。横浜市立本町小の六年生のクラスで、平成元
年から二年にかけての半年間に「コンピューターを使った授業が好き」と
答えた児童が、七三%から四三%に落ち込んだ。現在、東本郷小に移って
いる、コンピューター担当の野中陽一教諭(31)は「担任の先生が理解する
のに一週間もかかった、難しい図表作成ソフトを一生懸命使わせたから」
と分析する。画一的に押し付けるのが一番まずい、と反省する結果になっ
た。
 「コンピューターに慣れない先生に、高い能力を要求するのは無理だ」
と考える永野和男・鳴門教育大助教授(43)=教育工学=は、指導書を工夫
して、先生に頼らずに子供が自力で勉強できる方法を研究中だ。
 コンピューターを使った教育を各教科で広く進めようとしている佐伯胖・
東大教育学部教授(52)=教育方法学=は「正規の科目に入った点に意味が
あるだけ。子供が扱うには現在のパソコンもソフトも不備だ。今度導入さ
れるパソコンはほこりをかぶる運命で、使いやすさに重点を置いて開発さ
れている次世代から生きてこよう」と、さめた目でみている。

 《指導要領と授業・・・ユニークな授業も》
 新学習指導要領が示している情報基礎授業は@コンピューターの仕組み
を知るA基本操作と簡単なプログラムの作成B日本語ワープロ、データベ
ースなどのソフトを使うC暮らしや産業の中での役割を知る−−が四本柱。
プログラム言語は指定していないが、JIS規格がある言語のBASIC
が有力とみられる。
 一方、率先して導入した各地の小、中学校ではゆとりの時間を活用する
などして、かなり自由な使い方をしてきた。パソコンの画面に思い思いの
絵を描いたり、理科や社会の授業で理解を助ける図表や新聞を作ったりな
どだ。なかでも、富山市立神明小の戸塚滝登教諭(39)は、子供たちにチョ
ウの羽の模様や木の年輪などを測定させ、その測定値をパソコンを使って
音楽に変えさせる、ユニークな授業を試みている。


#0002 sci6407  9201230831

===== 何のために教育するのか ===== Alopex

中学生でコンピューター言語を教えるのは、べつに悪いことじゃな
い。みんなに教えることと、たぶんそれが「評価」につながること
が問題なんじゃないかと思うけれども。

パソコンについて思うことは、触れる人と触れない人がはっきりし
ていることです。ぼくの先生のIさんは著作も多いのですが、「ワ
ープロなんて、一回も触ったことがない」といきまいています。そ
の気もないし、もしその気があっても、彼はたぶん使えないでしょ
う。

たしかに、以前と違ってプログラムを自分で組むことはなくなりま
したね。(もっとも、ぼくは文献管理システムのプログラムを書い
たし、 また、 データ処理用のプログラムを書く人もけっこういま
す)。プログラムどころか、いまの多機能のソフトは、使えない人
が多いですね。たぶん、これはセンスの問題です。

こうした能力は、いいとか悪いとかではなく、ものすごく個人差が
大きいような気がしています。だから、実生活でも、プログラムで
きる人、OS程度は扱える人、ソフトに依存する人、まるっきり触
らない人が共存していていいのです。それでうまく住み分けていく
でしょう。

日本の教育は、文部省主導の「画一主義」ですから、そこが問題に
なるのではないかと思います。

                                    Alopex


#0003 sci7669  9201231240

はじめまして。

学生のころ、パソコン教室とかその手の講座がありましたね。
それ以前から、非常に興味もあり、真面目に取り組んでいたのですが、
最終的には、なにがしかの評価を受け、それで打ち切り。

社会人として、職場で扱うようになると、今度は本職ですから、
半端じゃあありません。いまや、エキスパートです(自称)

論旨にまとまりがありませんが、あまり問題
ならないと思いますが
それ以前に、インパクトの強い教育を期待しています。

                                                MASUO


#0004 dando    9201231655

 最後の方に出る富山の戸塚先生は「乗り物の存在を子供に教えるのに
まず自転車からというのではだめではないか。最初に新幹線を見せて
乗せてしまうという行き方が、コンピューター教育の場合は必要では」と
おっしゃっていました。

 ところで、おれは憶測ですが、今度の「情報基礎」は技術家庭科という
軽く扱われがちな科目の復権を目指したもの−−との説もありました。
妙に力が入っている感じがするのもそのせいかも・・・。その一方で、
「技術家庭の先生は学校が荒れた際にも一番生徒に近い存在だった。
落ちこぼれが出そうになったら、教科書など無視して面白く授業をする
のではないか」という期待の声も聞きました。

 教科書は現在、検定中で、公開は夏になります。・・・・dando


#0005 sci6407  9201241232

===== 将来のコンピューター社会のイメージは? =====

将来がコンピューター社会であるのは予想できます。でも、その姿
をより具体的にどう捉えているのか? 中学における教育は、その
どこの部分に対応しようとしているのかといったイメージが、もう
ひとつ明確でないようですね。

昔は、カマドで飯を炊く技術は大事だった。いまは、米をといでタ
イマーを合わせたり予約ボタンを押すのが大事だ。将来は、加工米
を買って機械にセットするだけで、自動的に食べる分だけできあが
るだろう(??)。

昔は、コンピューターのプログラムを作るのが大事だった。いま、
アイコンとマウスを使ったソフトを扱うことが大事だ。そして、将
来は、コンピューターを知らない人でも苦もなくソフトを操作でき
る(操作される?)ような環境になるだろう。

将来は、(たてまえとしては)人間は機械的な仕事から解放され、
より創造的な分野で能力を発揮できるようになる。プログラムとか、
キーボードとかはいらなくなる。(これは、ほんとうは、恐ろしい
ことなんですよね。でも、そうなっちゃうかも)。

というようなことを考えたら、ハードの知識やプログラムは、あま
り必要ないでしょうね。コンピューターをどう「創造的な」仕事に
活用できるか、というノウハウが必要です。

とすれば、いろんなソフトの簡略版を作って、自由に使えるように
するのが一番かも。

===== プログラム言語について =====

もしプログラムの訓練が必要なのだとしても、  プログラム言語が
BASICというのは、どうか。ぼくは、趣味としてパソコンが好
きなので、いろんな言語を使いました。BASICというのは、ち
ょっと中途半端かな。専門的に使うには論理性と融通性に欠けるし、
楽しむためには、より高度なソフトのマクロのような言語の方がい
いかもしれない。

BASICを、わが家の中学生に教えたことがあります。簡単なゲ
ームを作らせようとしたのですが、目的への道のりが長すぎて、即
座に挫折しました。(プログラムを書いてやれば、何も考えずに打
ち込むのですが)。言語を書くこと自体に面白味がなければ、将来
のゲームの楽しみという動因も効果が薄いのです。ま、ぼくの場合
は、教え方がへたなせいもあるだろーな。

みんなに教えるというのなら、SimCity で遊ばせていればいいかも
ね。グラフィックも体験でき、マウス、キーボード、フロッピーの
使い方もわかる。好きな子は、放課後まで遊ぶと思うよ。

でも、好きな子には、Pascalくらいは教えてもいいんじゃな
いかな。あの構造的な美しさは、やはり、ひとつの言語空間を作っ
ていると思う。

そう、ぼくは、コンピューターに関しては、だれからも教えてもら
ったことがない。好きだからやったんです(もう、大きなオトナに
なってましたが、PC-6001 で始めたのですから)。中学では、好き
な子にそれを追求するチャンスを与えればいいんですよ。それがい
ちばん大事じゃないかな。

                                    Alopex


#0006 sci5111  9201250234

コンピュータひとつに限って言えば、ああこれで、子供たちにとって
苦しくて無駄で、友達との間に序列を付ける道具になりさがった、としか
いいようがない。

日本の教育は、将来高等教育を受ける子供のための初等教育と、
将来社会に出るための基礎教育とをごっちゃにしているから、
しかもそれを、人間の選別の道具に使うから、おかしいんだ、と思う。

どの子供にもさせる、ということを考えれば、プログラミングは
義務教育になじまないと思う。でも、将来なにか学問をする子供には
とても有益だと思う。ただ、今の日本では、アルゴリズムさえ丸暗記
するようなことにならないかな。

少なくとも、コンピュータが正規の授業に入ってくるとなると、
家庭環境によって有利な子と、不利な子がでてくるのはさけられない。

時期尚早、というより、我が国の文化レベルでは無理なのではないかと
悲観的に考えています。

                     ゴマフアザラシ


#0007 sci7639  9201262316

 少し話がずれますが、将来、今よりも本当に家庭や一般企業内でパソコンの
ような(汎用性のある)コンピュータが使われるのでしょうか。

 私も数年前までは、将来家庭にコンピュータが入り込み、家計簿や子供の教
育に使われたり、家庭電荷製品などを制御したり(家庭内LAN?)するよう
になると考えていました。外出先からでもビデオのセットや暖房を付けたりで
きるようになるのじゃないかと思っていました。でも、いっこうにその方向に
はいきませんよね。それくらいのことならいまのパソコンでも簡単にできるの
に。

 それよりはむしろ、単体の製品の高性能化の方が進んでいるように思えます。
ビデオや電話がどんどん賢くなっていき、ワープロ機やゲーム機(ファミコン
等)が一般的になりました。しかもワープロやゲーム機の方が、その機能につ
いてはパソコンよりも高性能で、進化も速く、しかも低価格です。

 今はまだ、ワープロ機では機能が足らないのでパソコンにする人も多いよう
ですが、だんだんそういう事も無くなるのではないでしょうか(ワープロ以外
でも)。

 私はコンピュータのソフト屋でプログラマをやっているので、コンピュータ
に関してあまり一般の企業のことはわかりませんが、将来的には家庭の状況と
変わらないのではないでしょうか。余程特殊な使い道ではない限り、機能ごと
に専用機ができるのではないでしょうか。パソコンやワークステーションより
も安く高機能で覚えやすいものが。

 もしそうなるとすれば、一般の人(学生)がコンピュータを覚える必要性が
あるのでしょうか。プログラミングを覚えるどころか、アプリケーションソフ
トの使い方を覚える必要すらないのではないでしょうか。

 将来のプログラマ・SE不足を少しでも解消するためにコンピュータ教育を
早くから、という産業界からの希望もあるのでしょうが、全員がやる必要もな
いでしょう(高校以上で、もっと情報処理科を増やす必要はあると思いますが)。

 もっとも、パソコンが趣味でついに(大学を途中で止めてまでして)プログ
ラマになってしまった私としては、もっとコンピュータを使える人が増えて欲
しいとも思いますが・・・

                あ、このネットの書き込みは初めてだ、の karma


#0008 dando    9201271730

 中学3年で授業を受けたとして、社会に出る、まあ短大として、
5、6年先にコンピューター事情がどう変わっているのか、予測も
つかないという恐ろしさに、文部省は気付いていないのでしょう。
だって、5年前を考えて現状が予測出来ましたか。

 マイクロプロセッサーやDRAMの進歩を見ると、専用機、単能機
で本当に間に合うようになるかもしれません。だって、わたしの妻の
ようにボタンをいじる回数が一定以上になると拒否してしまう人は、
「したいこと−−>専用機」というプロセスだけで何ステップも省略でき
て、随分快適になるはずです。

 コンピューターの機能で、何が将来まで残るのか、それを推定する
だけでも随分なことだと知れます・・・・・・・・・・・dando


#0009 sci7655  9202030209

 !!                                           !!
==#: 技術家庭科の先生はりきり過ぎないで。 ==#:
  ii                                           ii

 IX(ナイン)と申しますが初めて書き込みます。  指導要領では

   1.コンピュータのしくみを知る。
   2.基本操作と簡単なプログラム作成。
   3.日本語ワープロ、データベースなどのソフトを使う。
   4.暮らしや産業の中での役割を知る。

が四本柱だそうですが、これらのバランスを上手くとって生徒が最後に「ふー
ん、コンピュータってこんな様なもんだったんだネ。」と感じる様な授業をし
てもらいたいと思います。はっきり言ってそれ以上やったらやり過ぎと思いま
す。もしやるならパソコンクラブでやるべきです。

心配なのは2.や3.で「生徒にプログラムをとりあえず書かせた。」とか「
全員がソフトを使って一つの処理を行った。」といった結果を出すことにこだ
わりすぎてしまうことです。

心配しなくても中学段階で言語が器用に使えるようになるということはソフト
ウェア技術者養成という立場からいって殆ど意味を持ちませんし、ましてや使
うだけの人間にとっては何の意味もありません。

つまりソフトを作る上で重要なことは、言語以前に数学等の素養が重要で、な
ぜクイックソートが処理が少ないのか、どういう時ヒープソートが有利なのか
といったことを判断しうる数学的基礎や、数値計算においてはディメンション
にいつも注意しなくてはいけないといった物理学的基礎、それよりもなにも物
事を系統的にとらえ思考する習慣、などを身につけるほうが先で、これに比べ
れば言語によるプログラミングなど極短期間で習熟してしまうということです。
極端に言えばその道にすすんでからでも十分間に合うということです。

また教材のソフトが使えるということもあまり意味がないと思います。もしこ
んなことに「ソフトとはこんなもんだ」以上の効果を狙うなら、家庭科の運針
並みににキーボードのブラインドタッチでも教えた法が100倍将来ソフトを
使う上で役に立つと思います。

最後にしつこい様ですが、つまり要は「こんなものか」が分かれば十分という
ことです。先生、力こぶをつくらずはりきり過ぎないで!


#0010 sci3398  9308231142

トコロザワ  ノ  イイノ でございます。
 たぶん、学校でコンピュータを教えはじめると、
コンピュータ嫌いの子供が増えるでしょうね。
  自分で、子供を持ってみて気付いたのですが、
子供は本来、勉強が大好きな様です。
  ただし、学校で強制しなければ・・・・。
 多分、コンピュータに限らず、子供は「遊び」のなかから
色々と勉強してゆくものなのでしょうね。
 親を初めとした大人たちは、この「そもそも勉強好き」な子供たちを
如何にそのまま伸ばしてあげるかを真剣に考えなければ
いけないような気がします。
 皆様、そして、学校の先生。
 特にコンピュータだからって特別視する必要はまったく無いと思います。
 ただ出来ることならば、なんとか子供が嫌いにならない
教育法に近付けるような努力は最大限に続けなくては
ならないように思いますが・・・。
                                     トコロザワ  ノ  イイノ